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2024.07.22 インボイス

フリーランスは請求書に源泉徴収税額を記載したほうがよい?計算方法とポイントを解説!

フリーランスは請求書に源泉徴収税額を記載したほうがよい?計算方法とポイントを解説!

「源泉徴収」とは、報酬や給与を支払う者が納税者への支払いから税金分を預かっておき、納税者本人に代わって国や地方自治体に納付することを指します。給与をもらう会社員であれば会社が計算して給与明細などに源泉徴収税額を記載しますが、フリーランスや個人事業主が請求書を作成するときには、どうすればいいのでしょうか。現在、記載していたりしていなかったりと、取引先によって定まらない状態かもしれませんが(取引先がフォーマットを指定してくることもあると思います)、本来はどのようにすればよいのか改めて確認してみましょう。

1.請求書に源泉徴収税額は書かなくても問題なし

そもそも、なぜ源泉徴収するのでしょうか。源泉徴収とは、徴収すべき税金をだいたいの計算で算出し、支払いの度に事業者が徴収しておくという制度です。「だいたいの計算」であり、その他控除などが含まれないため、給与所得者については「年末調整」、個人事業主は「確定申告」で過不足を計算し、払いすぎたら還付され、不足分は納付する、ということになります。この制度によって、国民は一度に多額の税金を支払う必要がなくなり、国や自治体も確実に税金を徴収することができるのです。

結論として、徴収する側が金額を把握できればよいので、請求書に源泉徴収税額を書かなくても問題がありません。書かなくても徴収される場合はされ、不要であれば徴収されることはありません。

2.源泉徴収の対象となるものは?

源泉徴収の対象となる報酬や料金の範囲は限られており、具体的には下記の通りです。

【源泉徴収の対象になる範囲】

①原稿料や講演料など
ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が50,000円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
②弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
③社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
④プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
⑤映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
⑥ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
⑦プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
⑧広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

引用:源泉徴収が必要な報酬・料金等とは

上記のような名称でなく、「謝礼」、「研究費」、「取材費」、「車代」などであっても、その実態が報酬や料金と同じであれば、源泉徴収の対象として扱います。ただし、交通費や宿泊代が交通機関やホテルなどに直接支払うような場合には、対象となりません。また、支払いが金銭でなく品物やそれに値する経済的利益だった場合にも、源泉徴収は行われます。

なお、請求時に報酬・料金に消費税および地方消費税が合算された金額となっており、明確に区分されていない場合には、その合算の金額から源泉徴収額を算出します。明確に区分されている場合については、報酬・料金のみの金額から計算することが認められています。

3.源泉徴収税額の算出方法

源泉徴収税額は一般的に、所得税額の10%と、復興特別所得税額の0.21%を合わせた0.21%を報酬・料金に掛けて計算します(対象の種類によっては異なるものもあります)。ただし、100万円をこえる場合には税率が変わります。

100万円以下の場合 支払金額 × 10.21%
100万円を超える場合 (支払金額 − 100万円)× 20.42% + 102,100円

4.請求書に源泉徴収額を記載する際のポイント

先ほど触れたように、源泉徴収の計算方法には2通りのものが認められています。わかりやすくするために、ここでは消費税および地方消費税をまとめて「消費税等」と表記します。

計算方法1 (報酬 + 消費税等)× 10.21%
計算方法2 報酬 × 10.21%

計算方法1と2では、金額に差が発生します。報酬を10万円として計算してみましょう。消費税は10%とします。

計算方法1の場合 (100,000 + 10,000)× 10.21% = 11,231
計算方法2の場合 100,000 × 10.21% = 10,210

この通り、計算方法1の方が源泉徴収される金額が大きいということになります。少しでも源泉徴収税額を抑えたいという方は、請求書でこの計算式が明確にわかるようにしておきましょう。FinFinで請求書を作成する場合には、計算方法2となります。

5.確定申告に向けて、源泉徴収税額ありの請求書にしよう

源泉徴収税額は確定申告においても必要な金額です。個人事業主の場合、給与所得者の「源泉徴収票」にあたる「支払調書」がない場合、自分自身で計算することになります。その際、請求書に源泉徴収税額が書いてあれば、年間の合算を行うことで確定申告書に記入する数字が算出できます。そのたびに会計ソフトに入力する場合にも簡単ですし、年間の合算はさらに簡単になるでしょう。改めてご自身の請求書をチェックしてみてください。

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記事監修者紹介

恒川洋子税理士事務所 税理士
恒川洋子先生 恒川洋子税理士事務所

1979年愛知県岡崎市生まれ。約10年の税理士事務所での経験を経て、2023年4月埼玉県越谷市にて独立。医業・飲食業・輸出入・小売業・卸売業・IT関連・不動産・イベント制作・各種サービス業、医療法人・一般社団法人・NPO法人等、多様な業種・形態の決算・申告を経験。「経営者が本業に集中できる環境を提供する」「お客様の事業が発展することで間接的に社会貢献する」ことを理念に掲げ活動中。