近年注目されているBPSP(Business Payment Solution Provider/ビジネス・ペイメント・ソリューション・プロバイダー)。「聞いたことがないような?いまのところまったく関わりがなさそう……」と思った方も、「税金の支払いは、バーコードのついた請求書をアプリで読み取って払っている」ということであれば、BPSPのしくみを活用しているということになります。BPSPは今後、私たちのビジネスにどう関わってくるのでしょうか。詳しくご説明します。
BPSP※とは、クレジットカードなどでキャッシュレス決済ができない取引でも、その間に立て替えをしてくれる業者が入ることで、キャッシュレス決済を可能にするしくみです。
売り手側がクレジット決済をしようとする場合、本来はクレジットカードの加盟店にならなければなりませんでした。しかし、このしくみを利用することで、加盟店にならなくともキャッシュレス決済ができ、より気軽にキャッシュレス決済を導入することが可能になったのです。冒頭で例に出した「バーコードを利用した請求書による税金の支払い」は、税金の支払先である国や自治体が「売り手」の立場であると考えてください。
日常生活ではよく使うクレジットカードも、事業においてはまだ定着していると言えません。「仕入の支払いをしたくとも、売上金が入るのはまだ先で資金繰りが苦しい」という場合などにも活用できるのがBPSPです。仕入の支払いにクレジットカードを使えれば、実際に現金が必要になるタイミングをずらすことができます。事業を起ち上げたばかりであったり、大きな事業投資をしたあとなどにはとても助かる方法だと言えます。
ただし、一般的なシーンでクレジットカードを利用する場合、その手数料は消費者でなく加盟店が支払います(リボ払い・分割払いは除く)。BPSPについてはこの点が異なり、利用者が手数料を支払うことになります。あくまでも利用者側にとっては「資金調達」であるため、一般的なローンなどと同じく手数料を支払う理由が利用者側にあるためです。
※クレジットカード会社ごとに呼び名が変わり、VISAでは「Business Payment Solution Provider(BPSP)」、Mastercard®のB2B向け決済サービスでは「Business Payment Aggregator Program(BPAP)」、JCBでは「BtoB決済ソリューション取引」と呼ばれます。ここではわかりやすくするために「BPSP」で一本化します。
BPSP自体は「買い手がカードで支払い、売り手は現金を得られる、その橋渡しを行うスキーム」を意味します。それを活用したものが「請求書支払い代行サービス」であり、次のようなしくみで成り立っています。
①買い手企業が仕入を行ったことにより、売り手企業から請求書が発送される
②買い手はクレジットカードを利用して支払代行を申請する
③代行業者(疑似代理店とも呼ばれます)が買い手の支払いを立て替えて支払う
(売り手はクレジットカードの加盟店になることなく、キャッシュを受け取ることができる)
④買い手側はカード会社の引き落とし日までに口座にお金を入れておくことで、引き落としが実施され、支払い完了となる
なお、似て非なるサービスがありますので、注意しましょう。
「請求書カード払いサービス」……BPSPを活用した、請求書を受け取る側に向けたサービス。
「請求書買い取りサービス(ファクタリング)」……請求書を発行する側に向けたサービス。「請求書」を通じての債権の買い取り。
請求書支払い代行サービスを利用するメリット・デメリットは以下の通りです。
【メリット】
・手元に現金がなくても、クレジットカードさえあれば支払いが完了する
・現金の支払いまで猶予ができ、資金繰りが改善する可能性がある
・支払い先には請求書支払い代行サービスを利用したことがバレない
・決済を一元化することができ、業務効率を上げることができる
・クレジットカードのポイントが貯まる
【デメリット】
・手数料がかかる
・審査に落ちると利用できない
・クレジットカードの上限に達しやすくなる(ビジネスカードの利用などで対応可能)
特に手数料がかかることは大きなデメリットといえますが、他の方法で資金を得ることを考えれば大きな出費とは言えないかもしれません。また、この手数料は「売掛債権売却損」や「支払手数料」などの勘定科目で計上することができます。手数料は各社で異なり、また、同一のファクタリング会社であっても請求書や申し込み内容によっても違ってくるため、その都度しっかりと確認するようにしましょう。
個人事業主にも利用できる請求書支払い代行サービスが増えてきましたが、やはり請求書を作成するアプリと直結しているサービスの利用がスムーズです。「FinFin カード決済」は「スマホインボイス FinFin」で受領した請求書を、 PC・スマホから指定して申し込むことがでできます。振込名義はご自身の名前や社名、事務所名を指定できますので、FinFin カード決済を利用したことは取引先にはわかりません。
なお、気になる審査や手続きですが、クレジットカードの与信枠を利用するため、それらの面倒は不要です。あくまでも利用できるのはクレジットカードの利用枠までとなりますが、上手に利用してキャッシュフローを安定させていきましょう。審査については『ファクタリング審査がなかなか通らない!その原因と解決策について解説!の記事も参考にしてください。
なお、FinFin カード決済を使うと、「請求書を送った相手」もカード払いが利用できるようにすることが可能です。大きな企業などの取引先は難しいですが、お付き合いの長い取引先・個人事業主などには喜ばれるかもしれません。相互でビジネスを発展させていけるツールとして、ぜひお試しください。