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2024年施行予定のフリーランス保護新法って?具体的にどう変わる?

2024年施行予定のフリーランス保護新法って?具体的にどう変わる?

フリーランス・個人事業主の方々は、「フリーランスが増えてきた」といった話を耳にすることも増えてきたのではないでしょうか。2022(令和4)年の就業構造基本調査によれば、本業をフリーランスでの事業とする人は約209万人、副業を含めると約257万人、有業者の3.8%を占め、比率的にも注視すべき存在となっています。法整備も進み、この度施行予定となっているのが「フリーランス保護新法」(フリーランス新法・フリーランス保護法)です。これはどういった法律なのでしょうか。詳しくご説明します。

※有業者 … 「ふだん収入を得ることを目的として仕事をしており、調査日以降もその仕事をしていくことになっている者、及び、仕事は持っているが現在は休んでいる者」と定義されています。

参考:総務省統計局 基幹統計として初めて把握したフリーランスの働き方

1. フリーランス保護新法が整備された背景

フリーランス保護新法・正式名称「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」は、冒頭でお伝えした通り、近年増加したフリーランスを守るために制定されました。2023年5月12日に公布されており、2024年秋ごろの施行が予定されています(2024年4月現在、詳細な日程についてのアナウンスはありません)。

フリーランスとして働く人々が直面する問題として、「報酬の支払いは発注事業者優位に決定され、非常に遅くなってしまう」「口約束で取引が開始され、合意なく途中解除される」「報酬に対し、適正でない量・質の納品物を求められる」といったものがあります。法人・企業など、規模の大きな事業者に比べ、「個人」であることで立場が弱く、不利な取引を強いられる危険性が高いのがフリーランスです。

こうしたことを背景に、フリーランス保護新法は「フリーランスと発注事業者の間で行われる取引の適正化」と「フリーランスの就業環境の整備」を目的として掲げています。

2. フリーランス保護新法の対象となる取引は?

フリーランス保護新法は「特定受託事業者に係る取引の適正化」などに関する法律であり、「特定受託事業者」ありきの取引であることが前提です。起業などを相手に取引をしていることが条件とされます。一般的にフリーランスと言うと、「消費者と直接取引している」「従業員を使用している」といった方も含みますが、そのすべての方を対象としたものではないことに注意しましょう。

引用:内閣官房 フリーランスの取引に関する新しい法律ができました

3. どんな発注事業者かによって、どんな義務があるかは異なる

発注事業者が満たす要件により、フリーランスに対してどのような対応をしなければならないのか、その義務となる項目は異なります。具体的な内容を見ていきましょう。

義務項目①~⑦は以下の通りです。

①書面などで取引条件を明示する義務
業務委託をする際には、書面などで「委託する業務の内容・報酬額・支払期日」など、取引に関する条件を明確な形で提示する必要があります。

②報酬支払期日を設定し、期日内に支払う義務
発注事業者は、報酬支払期日を「納品物を受け取った日から数えて60日以内」に設定し、その期日内に支払う必要があります。

③継続的に業務委託をした場合、次の禁止事項を行わない義務
フリーランスに責任がないにもかかわらず、「納品物を受け取らないこと」「発注時に定めた報酬額を守らず、後になって減額すること」「納品後、返品すること」などが禁止されています。

④募集情報を的確に表示する義務
フリーランスを募集する際、「虚偽の表示・誤解を与える表示」をしてはならず、また、正確な内容・最新の内容に保つ必要があります。

⑤育児や介護などと業務を両立できるよう、配慮する義務
フリーランスが育児や介護などと仕事を両立できるよう、特に申し出があった場合には必要な配慮をする必要があります。具体的には、「妊婦健診のために時間を確保したり、就業時間を短縮したりする」「育児や介護などと両立可能なスケジュールを組んだり、オンラインによる業務を可能にする」などのことが考えられます。

⑥ハラスメント対策にかかる体制を整備する義務
フリーランスに対するハラスメント行為について、相談ができる体制を整備するなどの措置を講じる必要があります。「自社の従業員にハラスメント防止研修を受けさせる」「ハラスメントに関する相談窓口・担当者をつくる」「ハラスメントトラブルが起きた場合には、迅速に事実関係を把握する」などのことが含まれると想定されます。

⑦中途解約がある場合には事前予告と理由の開示を行う義務
継続的に行う前提で発注した業務を途中解約したり、更新しないことにしたりする場合には、原則30日前までに予告する義務があります。
引用:内閣官房 フリーランスの取引に関する新しい法律ができました

4. フリーランス保護新法施行後、制度の再確認を

フリーランス保護新法のような法律ができたことにより、フリーランスと発注事業者の間に起こるトラブルの抑制にもなるでしょう。フリーランスから申し出ることが可能なことも増え、仕事がしやすくなるはずです。これは発注事業者にとっても悪いことではなく、winwinの関係を築くためにも必要なことだと言えるでしょう。フリーランス保護新法が正式に施行されるころには、さらなる詳細が判明するものと思われます。必ず確認しておくよう心掛けてください。

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記事監修者紹介

恒川洋子税理士事務所 税理士
恒川洋子先生 恒川洋子税理士事務所

1979年愛知県岡崎市生まれ。約10年の税理士事務所での経験を経て、2023年4月埼玉県越谷市にて独立。医業・飲食業・輸出入・小売業・卸売業・IT関連・不動産・イベント制作・各種サービス業、医療法人・一般社団法人・NPO法人等、多様な業種・形態の決算・申告を経験。「経営者が本業に集中できる環境を提供する」「お客様の事業が発展することで間接的に社会貢献する」ことを理念に掲げ活動中。