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2023.12.18 確定申告

インボイス制度開始!消費税の確定申告と納税に備えてなにをすべき?

インボイス制度開始!消費税の確定申告と納税に備えてなにをすべき?

インボイス制度が開始され、来年3月には制度導入後初めての確定申告があります。「課税事業者になって初めて消費税を納める」という人も多いでしょう。まずなにをすべきか?どこまで把握しておけばいいのか?などの疑問、不安は、少しでも解消しておきましょう。
この記事では、初めて消費税を申告・納税する人が把握しておきたいインボイスと確定申告について、ご説明します。

1.インボイス制度のおさらい

インボイス制度は、「インボイス(適格請求書)」と呼ばれる証憑書類での対応が必要となる仕入税額控除方式で、先の2023年10月1日から開始されました。事業者にとって支払った消費税は確定申告で控除されるものですが、「仕入れの時に払った消費税を控除するためには、国が認める形式で請求書等の交付・保存が必要になる」という、新たなルールが導入されています。これに対応し、企業との取引が多い個人事業主などは、インボイスの発行が必要となるケースが増えると考えられます。

2.インボイス制度が確定申告に与える影響

10月からの制度開始以降、「適格請求書」のために登録番号を取得する手続をしたり、請求書フォーマットの項目を増やしたり、といった作業が必要になりました。値上げ交渉や細かな問い合わせなども含めると、「考えていたより大変だった」という人も多いのではないでしょうか。

インボイス制度導入の影響により消費税納税の手続きが変わったわけではありませんが、今年から課税事業者になった人にとっては「初めての消費税申告と納税」であり、わかりにくいことは多いかもしれません。事前準備を怠らないようにしましょう。なお、これまで消費税を納税していた事業者も新たな確認や計算が必要になりますので、注意が必要です。

3.初めて消費税を申告する事業者はまずなにをすればいい?

では、初めての申告ではどのようなことに気を付けるべきでしょうか。具体的に見ていきましょう。多くの方は「2割特例」を選択することになると思いますので、その場合について詳しく解説します。

消費税納税分の確保

「2割特例」とは、インボイス制度をきっかけに課税事業者になった方を対象とした経過措置です。多くの方が、この措置を選択すると考えられます。
2割特例の対象者は次に当てはまる場合です。

(1)基準期間(2期前)における課税売上高が1千万円を超える課税期間でない。
(2)特定期間(前期の前半半年)における課税売上高と支払給与が1千万円を超える課税期間でない。
(3)基準期間がない法人のうち、期首資本金の額または出資の金額が1,000万円以上でない。
(4)相続・合併・分割で前事業者の消費税納税義務を引き継がない。
(5)消費税課税期間特例選択届出書の提出により、課税期間を一月又は三月に短縮している課税期間でない。
(6)令和5年10月1日より前から消費税課税事業者選択届出書の提出により引き続き課税事業者となる課税期間でない。
(7)令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日を含む課税期間であること。

2割特例では、売上に係る消費税からその消費税額の8割を差し引き、納める消費税を計算します。つまり、結果として売上消費税の2割を納めることとなり、このことから「2割特例」と呼ばれています。確保すべき金額については、前年の売上などからだいたいの計算をしておきましょう。事業拡大をしていて前年度の数字が参考にならない場合には、月末ごとに実際の計算をしておいたほうが安全です。

引用:国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」

2割特例は事前の届出が不要です。申告書の「税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)」の欄に【〇】を付けるのを忘れないようにしましょう。万が一付け忘れても、最終的な納税額を見れば気づくと思います。簡易課税制度よりも負担はぐっと軽くなるでしょう。

【2割特例を適用する場合の申告書の例】

引用:国税庁「消費税及び地方消費税の確定申告の手引き」

2割特例は使わず簡易課税制度で消費税計算を行うこともできます。その場合は、課税期間末日までに「簡易課税制度選択届出書の提出が必要です。

消費税の納付期限を知っておこう

まず、消費税の確定申告期限は所得税の申告期限とは異なり、3月31日となります。ただし、納税も基本的には同日となりますので注意が必要です。所得税も同日でしたが、源泉徴収を受けていた個人事業主は還付のみになることが多かったと思いますので、納税のための支払いが発生することになる点に気をつけましょう。

なお、「振替納税」を利用すると、振替日まで猶予が出ます。2023年(令和4年)分の消費税振替日は2024年(令和5年)4月27日(木)になっています。この「振替納税」には事前手続きが必要ですので、これも忘れないようにしてください。納付期限までに「預金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」の提出が必要です。e-Taxからの申し込みもできます。

まとめ

新たな制度が開始されると、さまざまな情報が飛び交い、「自分はどうすればいいか」がわかりにくくなります。これを把握しておくだけでも、直前に慌てることなく対応することができると考えましょう。今後も新たな情報が出るかもしれませんので、注意してください。

事業者としてもっとも避けたいことのひとつは金銭的な損失です。税ですから厳密に言えば損失とは異なるのですが、やはり可能な節税はしておきたいもの。会計ソフトなども早めに導入し、十分に備えておくことをおすすめします。

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記事監修者紹介

久保佑紀税理士事務所 税理士
久保佑紀先生 久保佑紀税理士事務所

通信会社でシステムエンジニアとして働くが、結婚を機に退職。その後約10年間、中小企業の経理職や税理士事務所で働き、2023年に個人税理士事務所を立ち上げる。税務業務を中心にお客様のサポートをしながら、2 人の娘を育てるママ税理士。