フリーランスの佐藤ナツキさんが「青色申告決算書を読めるようになる」という目標に向かって、税理士の宮﨑先生と一緒に会計を学ぶ「青色申告チャレンジ」。第2回目の今回は、日々のレシートの整理整頓方法を中心に、会計をスムーズに行うための基本的なポイントを解説いたします。
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個人事業主の方が会計を始めた時に避けて通れない問題は、どうやってレシート(領収書)の整理をするか?でしょう。特に家計簿をつける習慣がなかった方は、どう始めたらいいのかわからない、と途方に暮れるかもしれません。
佐藤ナツキさんの本業は、自分らしい空間を作るためのアドバイスを行う「きゅん部屋コンサルタント」で、整理整頓のアドバイスも仕事に含まれます。そんなナツキさんにレシートの整理方法を聞いてみると、予想通りにしっかりと整理整頓を行っていました。
まずは全てのレシートを一か所に集めて、仕事関係とプライベートに分けます。仕事用のレシートも「1月分」「2月分」「3月分」と月ごとに仕分けて、会計ソフトへの入力が終わったら封筒にしまうそうです。もちろんこの入力済のレシートをしまう封筒も月ごとに分かれています。
ナツキさんのレシート整理方法で印象的だったのは、「現金」で支払ったレシートと「クレジットカード」で支払ったレシートをきれいに分けていることです。
現在の会計ソフトはクレジットカードと連携することで、クレジットカードの取引データを取り込むことができます(もちろんスマホ会計finfinもこの機能を備えています)。ですから、クレジットカード払いのレシートの内容を、会計ソフトに一つ一つ自分で登録していく必要はありません。
ただしクレジットカードと現金のレシートを分けておかないと、自動で取込済のクレジットカードの取引を、レシートを見ながら登録してしまい、データが二重になってしまう危険があります。この二重登録は、会計を始めたばかりの人が陥りがちなミスの一つです。
なお、個人事業主が青色申告を行う場合は、帳簿・決算関係の書類を最低でも5年間保存しておく必要があります(税法では7年、民法では10年)。ですから、入力が終わったレシートも捨てたりせず、しっかりと保存しておきましょう。
このレシートの整理整頓術を「さすがですね!」と褒めると、ナツキさんは「最初からこんなにきちんとやっていたわけじゃないんですよ」と以前の様子についても教えてくれました。
事業を始めた初年度はまた仕事の量が少なかったので、仕事関連のレシートも少なく、きれいに仕分けていたわけではないそうです。「それまで家計簿もつけていなくて、最初は何をどうしたらいいのか、さっぱりわかりませんでした」とナツキさんは言います。
また、初めは紙に一つ一つレシートを貼っていていましたが、宮﨑先生のところに相談に行った時に「それは余計に時間がかかってしまうので、袋や封筒にわけてしまっておく方が効率的ですよ」とアドバイスされて、今のやり方に変えたそうです。
「ついついレシートを貯めてしまって、年末に慌てて対応している」という話もよく聞きますが、ナツキさんはこまめにレシートを処理して、一か月以上はレシートを貯めないようにしています。
「最初のやり方を柔軟に変えて、どんどんブラッシュアップしているのが素晴らしいですね。レシートをどんなふうに仕分けるか、自分なりのやり方を決めてしまうのが、レシートを貯めないコツなんですよ」と宮﨑先生はおっしゃっていました。
「どんどん封筒別に仕分けていくと、これだけやったんだ!という達成感につながって、頑張ろうという気持ちになれます」とナツキさんも笑顔で話していました。どうしてもレシートを貯めてしまう……という方は、まずはレシートの分け方をガッチリ決めてみてはいかがでしょうか。ちょっとした改善がやる気につながるかもしれません!
そうはいっても、レシートを入力するのは面倒くさい!というのが、大半の方の正直な気持ちかもしれません。
スマホ会計finfinや多くの会計システムでは、レシートを撮影してOCRでの読み取りができますので、全てを手入力する必要はありません。それでも読み取り後の仕訳に間違いがないかどうかのチェックは必要ですから、手間がゼロになるわけではありません。
そこで、宮﨑先生がオススメしているのが事業用のクレジットカードを作ることです。事業規模が小さいからまだクレジットカードは必要ない、と考える方も多いかもしれませんが、事業関連の支払いは事業用のクレジットカードで行う方が、会計は効率的になります。
「プライベート」と「事業関係」の取引を分ける手間が減りますし、前述のようにクレジットカードのデータ取り込みを行っている会計システムを使っていれば、クレジットカードを使えば使うだけレシート入力の手間は減っていきます。
ナツキさんも事業用のカードを使っていて、「入力する手間を減らしたいので、少額でもクレジットカードで支払うようにしています」と話していました。こちらもまだ実践していない方は、効率化の一環としてぜひ検討してみてください。
ナツキさんが持参した会計関係の書類の中に、気になるものがありました。「商工会議所へ補助金の相談に行ったら、決算書について色々と聞かれて答えきれなかった」という前回のエピソードの後、ナツキさんは一念発起してはじめての事業計画書を作り上げました。専門家に相談せず、自分で調べて作成したとのことで、宮﨑先生も「すごいですね!」と中身を見て感心されていました。
「数年後にどうなっているのかわからないから事業計画書は作れない、という声を聞くことがありますが、まずは自分の目標や夢を先行させてもいいんです。どうやってそれを実現させるか、は後から考えても構いません」と宮﨑先生はおっしゃっていました。
ナツキさんの事業計画書には売上の数字に加えて、「ホームページ開設」「オンライン販売開始」「法人化」などの具体的な目標も記載されています。この事業計画書をブラッシュアップしていきませんか?という提案が宮﨑先生から生まれ、ナツキさんも「ぜひお願いします!」と笑顔で快諾していました。
個人事業主の確定申告は、会計アプリを使ってスマホで済ませるのがおすすめです。
スマホで撮影するだけでレシートや領収書が簡単に取り込め、仕訳も該当する項目を選ぶだけで完了します。税務署へ行かなくても、自宅にいながらスマホだけで確定申告ができます。確定申告をしたいと考えている個人事業主の方は「FinFin」を試してみてください。
今回の「青色申告チャレンジ」はレシートの整理整頓方法を中心にお伝えいたしました。既に青色申告を行っている方の中には、「今更レシートの整理方法を見直すの?」と疑問を感じる向きもあるかもしれません。
しかし、レシートをどうやって整理して、会計データの登録まで持っていくかというルール設定は、会計業務の効率を大きく左右します。どうしてもレシートを貯めてしまうという方や、もっと効率を良くしたいと感じている方は、今回お伝えしたノウハウを取り入れてみてはいかがでしょうか?
次回は実際にナツキさんが事業計画書を作っていく過程を追いながら、みんなが気になる「事業計画書の作り方」についてお伝えしていきます。次回の連載にもご期待ください!