ファストフード店の店内で食べたときレシートを見たら消費税が10%かかっていたが、テイクアウトにしたら消費税が8%だった――そんな経験をしたことのある人も多いでしょう。これは現在、消費税の税率に標準税率と軽減税率の2種類の税率があるためです。
1989年に税率3%で日本にはじめて消費税が導入されて以降、税率は段階的に上がってきましたが、長いあいだ税率そのものは1種類でした。しかし、2019年に消費税率が10%へ引上げられた際、所得の低い人への配慮として軽減税率が導入されたのです。その結果、10%の標準税率と、8%の軽減税率が並立するようになりました。
ちなみに、いわゆる消費税のなかには、国に納める国税である消費税と都道府県や市町村に納める地方税である地方消費税の両方が含まれていますが、その配分も標準税率と軽減税率では違います。標準税率10%では、消費税率が7.8%、地方消費税率が2.2%。軽減税率8%では、消費税率6.24%、地方消費税率1.76%です。
軽減税率の適用対象になるのは、大きくは「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」の2つです。飲食料品は生きていく上で欠かせないものですし、新聞も知識や情報を得るために大切なものですので、所得の低い人もこの2つを得ることができるよう軽減税率の対象となりました。
軽減税率対象品目(8%) | 標準 税率対象品目(10%) |
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米、肉、魚、野菜、みりん風調味料(アルコール1%未満)など | ビールなどの酒類(アルコール1%以上)など |
テイクアウト、宅配、学校給食、有料老人ホームでの食事など | イートイン・レストランなどの外食、学生食堂・社員食堂での食事など |
清涼飲料水、ミネラルウォーターなど | 水道水 |
週2回以上発行の定期購読新聞 | 電子版新聞、コンビニ販売の新聞など |
ただし、その適用条件はかなり複雑です。まず「酒類・外食を除く飲食料品」では、「外食」や「ケータリング」等は、軽減税率の対象とはなりません。しかし、「テイクアウト」や「宅配」等は、軽減税率の対象となります。冒頭で触れたように、ファストフード店の店内で飲食をすると10%の消費税がかかるが、テイクアウトにしたら8%の消費税率となるのはこのためです。そして、「外食」か「テイクアウト」かは、飲食料品を提供する時点で販売者が客に意思確認を行うなどの方法で判定します。 さらに複雑なのは「一体資産」と呼ばれる商品です。たとえば、紅茶とティーカップのセット商品のように、飲食品と飲食品以外のものがあらかじめ一体となっているものがこれに当たります。この場合、その商品の税抜価格が1万円以下であり、かつ食品の価額の占める割合が3分の2以上の場合は軽減税率の対象なり、それ以外は標準税率の対象となるのです。 「酒類・外食を除く飲食料品」とくらべると、「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」は、基本的にはこの言葉通りですのでシンプルです。しかし、そのような新聞を定期購読契約に基づき販売する場合のみ軽減税率の対象となり、売店等での販売やインターネットを通じて配信される電子新聞は、標準税率となるので注意が必要となります。
現在、消費税の納税義務があり、かつ軽減税率の対象品目の売上げや仕入れ(経費)がある事業者で原則課税方式を選択している場合、仕入税額控除の適用を受けるためには区分経理に対応した帳簿及び「軽減税率の対象品目である旨」や「税率ごとに区分して合計した税込対価の額」等が記載された請求書等(区分記載請求書等)を保存しておく必要があります。これを、「区分記載請求書等保存方式」といいます。
一方、定められた期間の課税売上高が1,000万円以下の免税事業者は、これまでは自分から消費税申告をする必要がなかったため、申告における標準税率と軽減税率の違いも関係ありませんでした。しかし、2023年10月からインボイス制度が導入されると、これに登録した人は税率ごとの税額や登録番号など明記した請求書を作成することが義務づけられます。
そもそもインボイス制度とは、売り手が正確な適用税率や消費税額を買い手に伝える仕組みですので、これまで納税者としては標準税率と軽減税率の違いを意識していなかったフリーランスやギグワーカーなども、これからは2つの税率を意識せざるを得なくなっていくでしょう。
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