「一人親方」とは、個人事業主のなかでも主に建設業や運送業(ウーバイーツのドライバーなどを含む)を常態的に一人で営んでいる事業者を指します。「一人親方労災保険」は一人親方が加入できる労災保険です。この保険料は経費にすることはできないのですが、確定申告で所得控除の対象となるため、節税には役立ちます。また、保険料以外の費用で経費にできるものもあります。会計上どのように処理するべきか、詳しくご説明します。
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労災保険とは、「労働者災害補償保険法」という法律に基づく国の制度です。対象者は正社員、アルバイト、パートタイマー、契約社員、派遣社員、日雇い労働者などの「被雇用者」ですが、その特別枠のような形で一定の要件を満たすフリーランス・個人事業主など業務委託で働く人の加入が認められています。これを「労災保険の特別加入制度」と言います。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
ウーバーイーツなどで働く場合もOK。労災保険の特別加入制度とは?
先ほど触れたように、一人親方の労災保険は被雇用者向けの制度の「特別枠」に相当するもので、本来であれば一人親方の個人事業主は対象外となります。このことから、事業に関わる費用と言えるものであるにも関わらず、その保険料は経費として計上することができません。あくまでも「個人のための出費」と考えましょう。ただし、社会保険料控除の対象にはなります(後ほど詳しくご説明します)。
保険料を支払った際の処理は次の通りです。
①仕訳の例:保険料を「事業で使っている口座」から支払った
事業のお金を個人のために使った場合に使う「事業主貸」で処理します。
②保険料を「個人で使っている口座」から支払った
保険料は「個人の出費」であるため、特に事業の会計で処理する必要はありません。
一人親方の労災保険の保険料は経費にできませんが、労災保険に加入するために必要なその他の費用は経費として計上することができます。
入会金…入会時のみ支払う費用。
組合費…一人親方団体の組合に所属するための会費。月払いの場合と年払いの場合がある
事務手数料など、その他の費用…上記以外の費用。労災事故が発生した場合の事務委託料、更新手数料など。退会手数料が発生した場合も経費にすることができます。
経費計上する際の勘定科目は、「諸会費」「支払手数料」「雑費」などが該当します。勘定科目はこれらのどれでも問題ありませんが、毎回同じものを使うようにしましょう。
①仕訳の例:一人親方の労災保険に加入する際、事業用の口座から入会金を支払った
②仕訳の例:一人親方の労災保険に加入する際、個人の口座から入会金を支払った
個人の口座から支払った場合には、「事業主借」として計上しましょう。
一人親方の労災保険の保険料は、支払ったその都度経費計上することはできませんが、確定申告の際に所得控除の対象となります。逆に、入会金・組合費など経費にしたものは合算できませんので、ご注意ください。金額は、一人親方団体からの請求書内訳で確認します。
記入欄は「所得から差し引かれる金額」の「⑬社会保険料控除」となりますが、他の社会保険料も合算する必要がありますのでお気をつけください。会計ソフトや確定申告書作成コーナーを利用する場合には、個別に入力するページが表示されます。
以上のように、一人親方の労災保険の会計処理は保険料とその他で異なります。大切な補償を受けるためですからしっかりと加入し、節税にも役立てるようにしましょう。
引用:厚生労働省「労災保険 特別加入制度のしおり<一人親方その他の自営業者用>」
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例えば、労災保険の保険料支払いを「事業主貸」として仕訳する場合や、入会金や組合費などを経費として計上する場合も、スマホで撮影するだけでレシートや領収書が簡単に取り込め、仕訳も該当する項目を選ぶだけで完了します。確定申告時に、労災保険の保険料を「社会保険料控除」として記入する際も、簡単に入力できます。
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1979年愛知県岡崎市生まれ。約10年の税理士事務所での経験を経て、2023年4月埼玉県越谷市にて独立。医業・飲食業・輸出入・小売業・卸売業・IT関連・不動産・イベント制作・各種サービス業、医療法人・一般社団法人・NPO法人等、多様な業種・形態の決算・申告を経験。「経営者が本業に集中できる環境を提供する」「お客様の事業が発展することで間接的に社会貢献する」ことを理念に掲げ活動中。