正社員の場合、以前は副業を禁止する会社がほとんどだったのですが、最近ではその風潮に変化が現れ、副業OKとする会社が、どんどん多くなっています。具体的には、2018(平成30)年が「副業元年」と呼ばれていて、この年から政府が「働き方改革」の一環として副業を積極的に推進するようになりました。そして、それに合わせて企業の側も副業をOKとする動きが進んだのです。
そんな背景のなか、普通に会社勤めをしながら、副業として別の仕事をしている人が増えています。副業の中身は、UberEATSなどのギグワークやコンビニでのバイト、株取引、不動産経営、ネットショップの開設などさまざまです。
このように社会全体が正社員の副業を推奨するようになった背景には、終身雇用や年功序列賃金など、これまで正社員が保障されていたものを会社が働き手に与えられなくなってきているということがあげられます。つまり、働き手1人ひとりが、複数の収入源をもつ必要が出てきたということです。
ただ、副業OKの会社が増えているとはいえ、すべての会社で認められているわけではありません。副業を禁止している会社も、まだまだ多くあります。もし副業をしてみたいと思うなら、まずは自分の勤めている会社の就労規則を確認してみてください。そこに、副業に関する規定も書かれているはずです。
さて、正社員は基本的には、自分で確定申告をする必要がありません。これは、会社が社員に代わって税の申告をし、社員が納めるべき所得税、健康保険、厚生年金などをあらかじめ差し引いた金額の給与を払っているからです。
ただ、会社が社員に代わって毎月収めている所得税は、総支給額から社会保険料を差し引いた金額から算出されています。そのため、社員が個人で支払っている生命保険料や地震保険料などは加味されていません。しかし、本来ならばそれらの保険料は、正社員であっても所得から控除できるものです。そこで、その個人で支払っている控除分を調整する仕組みが必要となります。これが年末調整です(ただし、寄付金控除・医療費控除・雑損控除がある場合は、年末調整の対象外なので、確定申告をする必要があります)。つまり、「年末」に控除分を「調整」するわけです。払い過ぎた税金が返ってくる還付金をもらえる可能性があるので、正社員も年末調整はしっかりと手続きするようにしましょう。
ところで、正社員は基本的に確定申告をする必要がないと説明しましたが、副業をした場合は確定申告の必要が出てくることがあります。正社員として給与をもらっている人でも、副業の所得が20万円を超えた場合や、2カ所以上から給与をもらっている場合などは確定申告を行う必要があるのです。
会社が副業を禁止しているが、どうしても副業をする必要がある。あるいは、会社は副業OKだが、本業の手を抜いていると思われたくないとか、周囲に稼いでいると思われたくない、さらに副業の中身を会社に知られたくないなど、さまざまな利用で会社に副業がバレたくないと考える人もいるかもしれません。
しかし、副業に関して確定申告をした場合、会社が支払っている給与と合算されて翌年の住民税に反映されることで、会社に副業を知られてしまう可能性があります。かといって、副業の所得が20万円を超えれば確定申告をしないわけにはいきません。
しかし、抜け道もあります。それは、確定申告書第二表の「住民税に関する事項」の欄で、「自分で納付」にチェックをつけるというものです。こうすれば、副業による収入(雑所得→給与所得以外の所得)に関する住民税の通知が自宅に届きますので、その分は自分で納付することになり、会社に副業をしていることを知られずに済みます。
「確定申告書B」(国税庁)
( https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r03/02.pdf )を加工して作成
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まとめ
正社員の副業が認められる風潮が進むにつれ、これまで確定申告に縁のなかった正社員の人にとっても、確定申告が身近になってくると思われます。会社で年末調整をしているかいないにかかわらず、副業をしている人は、確定申告の知識をもっていたほうが有利でしょう。