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2025.03.13 確定申告

「毎日課題に取り組み、それをクリアしていく点は、選手でも会社員でも同じ」
元サッカー選手が語るセカンドキャリアと確定申告

「毎日課題に取り組み、それをクリアしていく点は、選手でも会社員でも同じ」<br> 元サッカー選手が語るセカンドキャリアと確定申告

元サッカー選手であり、現在はサッカーを通じた地域貢献に携わる三木萌子 (みき・もえこ)さんに、現役時代の経験と現在の仕事、そして確定申告について伺った。サッカー選手としてのキャリアと社会人としての挑戦には、共通する点も多いという。

現役時代の生活と仕事の両立

三木さんは、なでしこリーグ(当時)の選手としてプレーする傾ら、スポンサー企業で医療事務の仕事をしていた。勤務時間は10時から15時、夜はサッカーの練習。試合の遠征がある場合は、クラブ活動を優先する決まりになっていたという。
「チームメイトも保険会社やJR系の企業、クラブスタッフなどでそれぞれ働きながらプレーしていました。休みも週1日しかなく、使うお金も時間もないといった感じでした。今は週2日の決まったお休みがあるので、その点が一番変わったことですかね(笑)」と当時の環境を振り返る。

サッカーを引いたら自分に何が残るのか

フィジカルがものをいう競技の1つであるサッカーは、選手生命も短いと言われている。
浦和レッズレディースユースを経て順天堂大学に進学した三木さんが、大学のコーチによく言われたのは「サッカーを引いたら自分に何が残るのか」ということ。その言葉に向き合った結果、当初はメディカル系の資格取得を考えていたが、部活との両立が難しいため教員免許の取得に切り替えた。また、サッカー指導者の資格も取得し将来の可能性を広げた。
「自分の中での優先順位は競技を続けることだったので、無理なく取れる資格を選びました」

イベント開催や社会貢献など、フレキシブルな働き方を実現

引退後は、会社員として9時から18時の勤務を基本としながらも、企業の理解のもとでサッカー関連のイベントにも関わっている。現在の勤務先であるFBモーゲージ株式会社の代表から、面接時に「売上を追うのではなく、人のためになることを考え、その対価をいただく」という言葉をかけられ、驚いたという。
「え、数字を追わなくていいの?と当時の私は衝撃を受けたんです」
とはいえ、課題も感じている。元日本代表選手やプロの現役選手をゲストに招くイベントについては、「幼稚園でのサッカーイベントでは保護者向けにアンケートを実施し、そのデータをもとに勤務先の売上につながる仕組みを考えています。マネタイズの部分は、まだまだ試行錯誤ですね」と語る。
また、別事業で女性アスリートの支援事業にも携わっており、現役選手がプロデュースした商品を販売するECサイトを運営。多岐にわたる業務を担当している。「私は勤務先にとても恵まれていると思う。入社当初は、ここまで深くサッカーに関わることができるなんて想像していなかったです。でも今は、全てにおいてバランスが取れていて、やりたいことがいろいろある自分にとって、自由度を与えてもらえる環境に感謝しています」

スポーツとビジネスの共通点

「毎日課題に取り組み、それをクリアしていく点は、スポーツ選手でもビジネスパーソンでも同じ。現役時代は、試合に勝つために足りない部分をトレーニングで補っていました。今はそれが業務改善や営業戦略に変わっただけ。目標達成のプロセスは変わりません」

教わることから始めるスマホでの確定申告

アスリートとして活動しながら仕事をしていると、確定申告のような経理業務の負担を感じることも少なくない。個人で報酬を受け取る機会が多いアスリートやフリーランスにとって、税務手続きは大きなハードルになりがちだ。
三木さんの場合、現役時代はスポンサー企業からの給与所得だけだったので、確定申告の必要はなく、2023年度の確定申告が初めてだったという。イベントやECサイトの収益について勤務先を通じて源泉徴収されるが、その部分が歩合の給料として支払われているという。
「最初は何もわからず、当時ルームシェアしていた選手が青色申告をしていたので、色々と教えてもらいました。また、どんな取引が経費になるのかというのも、社内の営業社員など、すでに白色申告をしている方が親切に教えてくれたので、大変助かりました」

今、確定申告に利用しているのは「スマホ会計FinFin」という確定申告アプリ。一般社団法人日本アスリート支援協会(JASA)の事務局を務めている関係でこのアプリを知り、使い始めたとのこと。
「イメージキャラクターのパンダが可愛いですよね。今は源泉徴収票を写真で読み込んだばかりですが、残りの期間で頑張って追い込みます(笑)」
三木さんは、本業の勤務先からの給与所得に加え、歩合報酬としての白色申告(事業所得)を合算して申告し、歩合報酬分も勤務先に源泉徴収をしてもらっている。そのため、確定申告で還付されるケースだという。
「パソコンは画面が広くて分かりやすい点は良いが、いちいちパソコンを開かないといけなかったり、ネットに接続しないといけなかったりなど、環境の点でスマホは楽だなと思う。FinFinは質問に答えながら入力していく点が分かりやすいと思っています。あと、去年は紙に印刷して税務署へ持っていったのですが、今年はマイナンバーカードを使って電子申告をしたいと考えています」
スポーツ選手の場合、確定申告といった事務的なことも、先輩に教えてもらうケースが多いという。

現役選手やこれから副業を始める方へアドバイス

「現役選手であることは本当にブランドだと思います。現役選手と一緒にイベントに出たり、一緒にフットサルをしていても、一般の方の反応が全然違うんです。現役選手だ!と皆さん目を輝かせるんです。それほど“現役”というのは価値があるんだなって。有名とか無名とか全然関係なく現役選手であることは凄いと思うので、選手の方はそれをもっと活用して欲しいなと思います。SNSなどオンライン上で発信することもそうですが、オフラインでの交流も大切です。チームスタッフや同僚だけではなく、外に向けてフットワーク軽く自分から直接会いに行くことが大事だと考えています」
「あとは準備が重要。自分がやりたい目標のためにどんな人と繋がっていたらいいのかを考え、自分から会いに行く行動力を持っていた方が良いと思います」

選手として積み重ねた全てが今の仕事に繋がっている。三木さんはこれからも、その経験を強みに前へと進んでいく。

三木 萌子(みき・もえこ)

埼玉県さいたま市(旧浦和市)生まれ。5歳よりサッカーを始め、浦和レッズレディースユース、順天堂大学を卒業後、JEFレディースに入団。現役引退後は人材紹介会社勤務を経て、さいたま市のFBモーゲージ株式会社に入社、広報・イベントを担当。女性アスリート支援プロジェクト「SUNNYS」運営統括、一般社団法人日本アスリート支援協会(JASA)の事務局も務める。
https://www.instagram.com/mikimoeko_22/